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肝機能障害について

肝臓は、「沈黙の臓器」と言われるように、たとえ機能障害があったとしても、大きな腫瘍や胆石による圧迫などさえなければ痛みを感じることはほとんどありません。また、慢性肝炎の場合は、肝硬変や肝臓がんまで進行しないと、倦怠感や黄疸などの症状が出てこない特徴があります。

肝機能障害の原因としてはウイルス性、自己免疫性、薬剤、アルコールと多岐にわたります。しかし少々の障害があっても自覚症状が無く、放置してしまいがちになるため早期の原因究明、早期の治療が必要になります。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

ほとんどお酒を飲まない人が脂肪肝炎になり、肝硬変、肝がんへと進行するケースがあります。これは、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と言われ、自覚症状もほとんどありません。主な原因は、肥満・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)、薬剤摂取などとされていますが、そのメカニズムはいまだによく解明されていません。非アルコール性脂肪肝炎の治療には生活の改善が大切で、低エネルギーで栄養バランスの良い食事を心がけ、適度な運動を取り入れます。こうした生活改善によっても肝機能異常が治らない場合は、検査結果や症状に応じて薬剤加療を行う事もあります。

ウイルス性肝炎

ウイルス性肝炎とは、肝炎ウイルスに感染して、肝臓の細胞に炎症が起こり、肝細胞が壊される疾患です。日本においては、B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルス感染による肝炎がその多くを占めています。

本来肝臓は再生能力が高く、例えば手術でその半分以上を切り取っても元の大きさまで再生できるほど丈夫な臓器です。しかし、ウイルス性肝炎になると徐々に肝臓の機能が失われていき、「肝硬変」や「肝がん」といった、再生が難しい病気に進行してしまいます。

B型・C型ウイルス性肝炎の患者・感染者数は日本国内では300万人を超えると予想されています。そのままにしておくと肝がんや肝硬変などに進行することがありますが、早期発見と適切な治療により重い病気を防ぐことができます。

今、ウイルス性肝炎は治る、あるいは病気をコントロールできるようになっています。適切な知識で早期発見・早期治療に繋げましょう。

自己免疫性肝炎

自己免疫性肝炎は、多くの場合には慢性に経過する肝炎で、肝細胞が障害されます。血液検査では肝臓の細胞が破壊されることによりASTやALTが上昇します。自己免疫性肝炎が発病するのには免疫の異常が関係していると考えられており、中年以降の女性に好発することが特徴です。自覚症状がないことも多く、放置すると肝硬変になり肝細胞癌が出現する事もあります。診断には血液検査や患者背景、生検結果にて確定診断を下します。また、治療では副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤が有効です。英語での病名はAutoimmune hepatitisであり、頭文字を略してAIH(エー・アイ・エッチ)と呼ばれます。

原発性胆汁性胆管炎

肝臓は「人体の工場」といわれるほどいろいろな働きをしていますが、その中の一つに胆汁という消化液をつくるという働きがあります。胆汁は肝臓の中の肝細胞という細胞によってつくられたあと、胆管を通り、いったん胆嚢で蓄えられた後十二指腸に流れこみます。原発性 胆汁性胆管炎(げんぱつせいたんじゅうせいたんかんえん)という病気は、肝臓の中のとても細い胆管が壊れる病気です。英語ではPrimary Biliary Cholangitisといい、頭文字をとってPBC(ピー・ビー・シー)と呼ばれています。肝臓の中のとても細い胆管が壊れるため、胆汁の流れが通常よりも少し滞ってしまい、血液検査をするとALPやγ‐GTPなどの胆道系 酵素 が通常よりもかなり高い数値になります。さらに、血液の中に抗 ミトコンドリア 抗体(AMA)という 自己抗体 が検出されるのがPBCの特徴です。

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